フレデリックが教えてくれること
- 公開日
- 2020/04/24
- 更新日
- 2020/04/24
お知らせ
太田中学校の皆さんへ
小学校の教科書にも出てきた、『スイミー』の作者として有名なレオ=レオニの絵本『フレデリック』を読んだことがありますか。
フレデリックは、他の四匹の野ねずみといっしょに暮らしていました。
えさがなくなる寒くて暗い冬を前に、昼も夜も休まずにトウモロコシと木の実、小麦とわらを集める四匹とは対照的に、じっと座り込んで動かないフレデリック。さぼっているように見えたフレデリックでしたが……。
フレデリックは、冬に備えて彼なりに、あるものを着々と集めているのでした。
それは、お日様の光。いろんな色。そして、たくさんの言葉。
冬が来て雪が降り始めた後、石垣の中の隠れ家(かくれが)で、冬になる前に集めた食べ物を食べて満足する四匹でしたが、やがて食べ物も減り、こごえるようになります。
食べ物がほとんど底をついた後で、四匹の心と体を癒(いや)し、勇気づけたのは、フレデリックが、冬が来る前にじっとしながら地道に集めていたもの(お日様の光、青い朝顔や黄色い麦の中の赤いけし、野いちごの緑の葉っぱなどのいろいろな色、そして、俳優みたいにすらすら出てくる数々の言葉)だったのです……。
新型コロナウイルスの感染が広がる中で、登校もできず、外出も控えてじっと我慢している今の皆さんの姿は、冬が来る前に、お日様の光、たくさんの色や言葉を地道に集めていたフレデリックの姿に重なります。
学校が休みの今、この時に、皆さんが計画的に学習したり、読書をしたり、適度な運動をしたりして蓄えた力が、後になって(学校が再開された時、あるいはそのずっと後で)役に立つ、成果となって現れる、そんな日が必ず来る、とフレデリックは教えてくれているようです。
皆さんも、フレデリックのように、目先のことだけでなく、ずっと先を見通して、今は地道に力を蓄えてください。この休みの期間に蓄えた皆さんの力が、自分自身、そして誰かの役に立つ時がきっと来るはずです。
私たち太田中の教師も、皆さん一人一人の顔を思い浮かべながら、今はフレデリックのように、地道に力を蓄えています。
太田中学校長 今井 東